未経験からコンサルを目指す人は増えている。だが、実態を知らずに入社して短期間で辞めていく人も同様に増えている。

採用責任者として未経験候補者を多く見てきた立場から、コンサル転職の現実を正直に話す。

未経験者が抱く最大の勘違い

未経験でコンサルを目指す人の多くが持っているイメージがある。

「コンサルはかっこいい仕事で、クライアントにアドバイスをするだけでいい」

これは幻想だ。コンサルの実態は思っているより泥臭く、手を動かし続ける仕事だ。華やかなアドバイスの裏側には、膨大な資料作成・データ分析・議事録・提案書の修正が積み重なっている。

入社後に最初にぶつかる壁

未経験で入社した人が口を揃えて言うのは「当たり前の基準の高さ」だ。具体的にはこういったことが起きる。

  • 資料作成をとにかくやらされる。量と質の両方を求められる
  • 日本語の使い方をテキスト・話し方の両方で細かく指摘される
  • JTCと呼ばれる文化が古い企業の支援に入ったとき、そこに合わせることを求められる

Z世代として「個性を活かしたい」「フラットな環境で働きたい」という価値観で入社すると、真逆の世界に直面する。実際に入社3日目で退職する人は珍しくなかった。

コンサルは「当たり前のことを当たり前以上にやる」ことを求める仕事だ。その基準の高さに最初からついていける人間は多くない。

それでも採用される人・されない人の差

未経験で採用される人とされない人の差は、突き詰めると胆力があるかどうかだ。

経験がない分、スキルでは差がつかない。採用側が見ているのは「この人は状況に合わせて変化し続けられるか」だ。厳しい環境に放り込まれても、折れずに適応できる人間かどうかを面接・書類を通じて読もうとしている。

逆に言えば、いくらポテンシャルがありそうでも、「自分のやり方でやりたい」「合わない環境は変えたい」というスタンスが透けて見える人は、未経験での採用は難しい。

未経験で成功した人の共通点

採用責任者として見てきた中で、未経験からコンサルで成功したと言える人には共通点がある。

若くして成長し、能力をつけることへの執着が強い人だ。

厳しい環境だとわかったうえで自分を追い込むために入社し、嫌な思いをしても食らいつき続けた人が、数年後に頭一つ抜けている。逆に「思っていたのと違う」で辞めていく人は、最初から目的が曖昧だったケースが多い。

コンサルは成長の場として機能する。ただし、成長痛に耐えられる人間だけに、その恩恵がある。

応募前にやっておくべきこと

未経験でコンサルを目指すなら、応募前に必ずやっておきたいことがある。

フェルミ推定の練習だ。

コンサルの採用では地頭を測るためのテストが選考に組み込まれていることが多い。フェルミ推定はその代表的な形式であり、完答できなくても「問題に慣れている」かどうかが見られる。

やり方は単純で、毎日1問解き続けること。最初はうまくできなくていい。問題に慣れ、考え方の型を身につけることが目的だ。この準備をしているかどうかで、足切りの通過率が大きく変わる。

まとめ

  • コンサルは泥臭く、当たり前の基準が高い仕事。アドバイスだけする仕事ではない
  • 入社後の最初の壁は資料作成・日本語品質・環境への適応
  • 採用されるのは胆力があり、状況に合わせて変化できる人
  • 成功するのは成長への執着が強く、食らいつき続けられる人
  • 応募前にフェルミ推定を繰り返し練習しておくこと

未経験でのコンサル転職は、覚悟があれば現実的な選択肢だ。だがその覚悟が本物かどうかは、入社してみるまでわからない。少なくとも「かっこいいから」という理由で目指すなら、一度立ち止まって考え直したほうがいい。